喘鳴(ぜんめい)とは
喘鳴とは息を吸うとき、はくときのどちらかかもしくは両方でぜーぜー、ひゅーひゅーという音がなることを言います。
患者様は喘鳴にともない呼吸困難も自覚します。
喘鳴(ぜんめい)原因
気管や気管支のなかの空間が何かしらの理由で細くなることで笛を吹くように音がなります。
下記の二つのパターンに分けられます。
痰や異物が気道の中につまる場合、気道や声帯の狭窄
(低音のいびき様の音)
肺炎
気管支や肺の炎症にともない膿性の痰が気道内に分泌することによって空気の通り道が細くなる
異物(食物や義歯など)の誤嚥
異物を誤嚥し、その周囲にも炎症が起き分泌物が増えることでさらに空気の通り道が細くなる
癌性リンパ管症
肺にもリンパ管が豊富に存在しています。癌がリンパ管に転移することにより炎症がおこり痰の分泌が増えますが、吐き出すことが困難なためぜーぜーと音がします。進行した癌の患者様にみとめられることがあります。
喉頭や口腔内の病気による気道の閉塞
喉頭がんや急性喉頭蓋炎など声帯周囲の病気の進行によって、息を吸うときも吐く時もぜーぜーと音がします。
気管支そのものが細くなる場合
(高音の笛をふくような音)
気管支喘息
最も多い喘鳴の原因です。夜間や明け方の症状が多く日本人は多く経験する病気です。
気管支喘息のページを参照ください。
心不全
心臓の負担により、水分が肺にうっ滞することにより組織がむくみます。結果として気管支の壁が分厚くなり、さらには気管支の中の分泌物も増え気道が狭くなります。
心不全の急性期には喘鳴はとても多く認められ喘息の喘鳴と似ていることから「心臓喘息」とも言われます。
胸水や気胸などの肺の外からの圧迫
肺は胸腔という空間の中で呼吸に伴い大きさが変化しておりますがその胸腔の中に空気や水がたまってしまうと、結果として肺そのものを圧迫してしまい気管支がおしつぶされることによりぜーぜーという音がします。
重症の肺気腫
肺の組織がたばこによって壊されるため息をはくときに気管支を保持できずその結果気管支が細くなります。
肺気腫が急性の発作を起こした際には気道の分泌物も増えぜーぜーが強くなることも多いです。
診断・治療
まずは聴診を行い呼吸の音により低音性か高音性かを判断します。
患者様が横になると苦しくなるのかどうかも重要です。
喘息発作や心不全などではあおむけに寝た状態では呼吸苦が悪化するために自然と座っていることも多いです。
心不全であれば体中のむくみが見られることもあります。
呼吸の状態を把握したところで胸部レントゲン検査、胸部CT検査、血液検査(炎症反応や心臓の負担を調べる検査など)を行うことでより正確な診断を行うことができます。
必要時酸素投与を行い原因により治療へとすすみます。喘鳴を起こす病気は上記の鑑別の通り比較的緊急性のあるものが多いです。状態悪化により人工呼吸など体に負担のある治療が必要になってしまうケースもあります。