肺気腫(COPD)はたばこが
原因の病気です
肺気腫は9割以上が喫煙によってもたらされる病気です。近年では落語家の歌丸師匠が、在宅酸素療法を受けていたことは広く知られております。2030年には世界の全死因の3位になると言われている病気です。
30年ほど前は喫煙されているかたがとても多かった時代があり、公共交通機関などでも喫煙が可能な時代もありました。その時代の方々が現在高齢になり、肺気腫と闘っている患者様も珍しくありません。
肺気腫(COPD)の
症状
動くと息切れがする、階段の上り下りや布団の上げ下ろしで息切れがひどいといった症状などを日常的に自覚します。
ただの年齢による体力の衰えと考えずに、タバコを一定期間吸った経験のあるかたは一度肺気腫を疑って検査をおすすめします。
病状が進行すると毎回の呼吸にエネルギーを使うことになり、食べても太れない、痩せが進むという状況になります。
感冒後ゼーゼーしたり、呼吸症状が長引くこともしばしば経験します。
肺気腫(COPD)の
原因
9割以上が喫煙によるものです。他に大気汚染などが原因となることもありますが、日常診察をしていて肺気腫の見つかるかたのほとんどに喫煙歴があります。
肺気腫(COPD)の
診断
胸部レントゲンでは通常初期には異常は認められません。胸部CT検査では輪切りによる撮影により数ミリ単位で肺の状態がわかるため、目で見て肺気腫の状態をチェック可能です。
肺気腫のかたのCTでは肺の細胞がタバコのダメージにより溶けてしまい黒く抜けてしまっている所見が目立ちます。
あとは呼吸機能検査(プゥーと息を強く吐く検査)で診断し、軽症や重症といった肺気腫のランク分けを行うことで治療方針を決定していきます。 胸部CT検査、呼吸機能検査ともに当院でも即日施行可能ですのでご相談ください。
肺気腫(COPD)の治療
なんといっても禁煙!が第一となります。一度肺気腫ができると肺がもとの状態に戻ることはありません。
しかし禁煙をすることで今後の病気の進行スピードを各段に落とせます。 薬剤治療としては気管支拡張(抗コリン薬)の吸入が第一選択となります。
抗コリン薬の吸入により患者様の生活の質、寿命の延長効果が知られています。
抗コリン薬は緑内障や尿が出づらいほどの前立腺肥大では禁忌となりますので、それぞれの分野のかかりつけの先生と事前にご相談が必要になる場合があります。
抗コリン薬に加えて肺気腫の重症度により、吸入ステロイドや在宅酸素療法の併用も検討をします。
早期に診断をし、禁煙に結び付けることで本人の生活の質(QOL)が各段に変わります。
CT検査は患者さんからも目で見て肺の状態が理解できるため有用です。
私は今まで呼吸器内科医として総合病院で数々の肺気腫の患者様と関わらせていただきましたが、在宅酸素が必要になった患者様はみなさま過去の喫煙を後悔しておりました。こんなにつらいなら若い人教えてあげたい・・・、と言っておられたかたの言葉が印象的でした。
自分は肺気腫かも?と思ったかたは是非ご相談ください。結果により早めの禁煙につなげられるかもしれません。そして現時点で肺気腫の診断がついている患者様も今後の生活の質を担保するため、当院もサポートをさせていただきますのでよろしくお願いいたします。