運動誘発喘息とは
激しい運動(大笑い、はしゃぐなども含まれます)、長時間の運動に伴い気管支喘息の発作が誘発されるものを運動誘発喘息(EIA:exercise indused asthma)と言います。
喘息ではないかたにも起こりうるため運動後に気管支が収縮する現象として、運動誘発気管支攣縮(EIB:exercise indused bronchoconstriction)と呼ぶこともあります。いずれも子どもが発症することが多いのですが、大人でもなる可能性があります。
運動中や直後に起こるケースを即時型、運動後6~12時間たってから起こるケースを遅発型と呼んでおり、後者の場合は運動誘発喘息と気づきにくいため注意が必要になります。
遅発型は「運動会」などの行事のあとにみられることが多いです。運動会当日の夜間に症状が出現することになります。小児喘息の半数あたりが運動誘発喘息にあたるとも言われています。
トップアスリートとなるとさらに喘息有病率が高く北京オリンピックの日本代表選手の15%に喘息、または喘息の疑いがあったとされています。トップアスリートでは競泳はアスリート喘息の有病率が高く20%と報告があり、塩素による気道障害や長時間の運動の関与が指摘されています。寒気が影響する冬季スポーツのほうが夏季スポーツよりも有病率が高いです。
運動誘発喘息の
原因
運動をすることで呼吸回数が増え、気管・気管支が冷やされる結果、腫れ、気道が狭くなることが考えられています。
誘因
- 外気温
- 湿度
- 大気汚染
- 花粉
- プールやスケート場にある化学物質
などが含まれます。
それぞれの患者様によって誘因が異なります。
運動誘発喘息の
予防
- 運動前のウォーミングアップ(10分~20分)が最も有用です。
EIAは十分な準備運動により1~4時間の間は発作が起こさなくできることが知られており推奨されます。
みなさまもご存じの「ラジオ体操第一第二」を通しで行うことで7分程度になりますのでおすすめです。
- 寒冷の刺激が原因の場合は可能な限りマスクをしておき気道の保温に努めるとよいでしょう。
またそのために運動の際は鼻呼吸をおすすめします。
- 普段から喘息のコントロールをしっかり行い、気道過敏性をおさえておく必要があります。
喘息のコントロールが良好であればEIAを起こしにくくなります。
- 運動15分前の短時間作用型β2刺激薬の吸入(サルタノール、メプチンエアーなど)
- 運動15分前のDSCG(インタール)の吸入
- 普段から適切に運動を継続することが大事です。
水泳がよいとされていますがなんでもよいので運動する習慣をもつことが大事です。
1日20分程度の早歩きでもOKです。
運動誘発喘息の
治療
運発作時はまずは安静にして腹式呼吸で呼吸を落ち着けます。腹式呼吸では二酸化炭素の吐き出しもしっかり行えるため胸式呼吸よりも効果的です。お腹に手を当てて座位を保ちお腹に力をいれながらゆっくりと息を吐くようにします。飲水も加湿の面からも効果的です。この対応にて20-30分で改善するのが一般的ですが、改善ない場合はためらわずにサルタノール、メプチンエアーなどの気管支拡張薬を吸入します。
喘息の薬物治療に関してはドーピング検査に関係するものもあります。
アスリートのかたで喘息の治療を行っているかたは医師に投薬内容のご相談をしてください。
当院でも少しでも患者様の不安が解消できるようサポートさせていただきます。