インフルエンザワクチン
インフルエンザワクチン接種について
インフルエンザワクチンの予防接種を行うことで感染や発症そのものを完全には防御できませんが、インフルエンザによる重篤な合併症及び死亡を予防し患者様のダメージを最小限にとどめることを期待して行います。
このワクチンの効果は、年齢、本人の体力、ワクチンに含まれている株とそのシーズンのインフルエンザの流行株との合致状況によっても変わります。
65歳以上の高齢者福祉施設に入所している高齢者については34~55%の発病を阻止し、82%の死亡を阻止する効果があったという報告があります。
みなさまが毎年接種している日本のインフルエンザワクチンでもWHOが推奨したウィルス株を基本にして、日本の流行状況や健常人の持っている免疫の状況を見ながら予測して作られています。
私も高齢者や持病をもった患者様などには毎年必ず接種するようアドバイスをしております。
よくある質問
インフルエンザの予防接種は何回するの?
13歳未満のかたは通常1シーズンに2回の接種、13歳以上のかたは通常1シーズンに1回の接種となります。 インフルエンザワクチンの添付文書を見ると生後6か月以上で13歳未満では2回の接種、13歳以上では1回または2回の接種と記載されています。現状では2009年の厚生労働省の検討により、13歳以上は原則1回接種を行うとされています。理由は1回のワクチン接種で国際的な基準を上回る十分な抗体が認められたこと、また1回接種と2回接種の間でインフルエンザに対する抗体価上昇に差がなかったことがあげられています。 持病をお持ちのかたで免疫が著しく低下していると考えられる患者様は医師の判断で2回接種を行う場合があります。
いつ頃ワクチンを接種したらいいですか?
10月~12月中旬までに接種するようおすすめします。 インフルエンザウィルスは毎年変異をしながら流行を繰り返しています。そのため私たちは原則的に予防接種を毎年受ける必要があります。インフルエンザの国内での流行はおおむね12月末から翌年の3月くらいですので、それに合わせて12月中旬までには接種することをおすすめします。
ワクチンの効果はどれくらい続きますか?
ワクチンの予防効果は接種後2週間~5か月程度となります。 もちろん本人の体力や免疫の状況にもよりますが、2回接種の場合で接種後1~2週間後に抗体が上昇し始め、3~4か月後には徐々に効果が低下していくという報告があります。 そのためワクチンの効果が期待できるのは接種後2週~5か月程度と考えられております。
インフルエンザワクチンの副反応は?
一般に副反応は軽く、10~20%で接種部位の発赤、腫れ、痛みを起こします。 上記症状は2,3日で消失します。全身の反応としては5~10%で発熱、頭痛、悪寒、倦怠感などがみられますが、これも2~3日で消失します。 まれにですがワクチンのアレルギー反応として湿疹、蕁麻疹、かゆみなどが数日みとめられることもあります。
接種にあたっての注意点は?注射を受けてはいけない人はいるの?
・明らかに発熱を呈している人 ・インフルエンザワクチンの成分によってアナフィラキシーを呈したことがある人 上記のかたは接種が行えません。 ワクチンは必ず体調の万全なときに行うものです。発熱をしていたり、急性の病気にかかっているときは絶対に行ってはいけません。また禁忌ではありませんが接種要注意者として過去にけいれんの既往のあるかた、鶏肉・鶏卵・その他鶏由来のものに対してアレルギーのあるかたは接種の際、要注意となります。 インフルエンザワクチンの添付文書では鶏卵アレルギーのあるかたは要注意と記載されておりますが絶対禁忌というわけではありません。インフルエンザワクチンは鶏卵の中にワクチンのもととなるインフルエンザウィルスを入れ、その鶏卵の中で増えたウィルスを精製したものをもとに作られております。そのため、ごく微量の鶏卵の成分が入っています。 ごく微量の成分とはオボアルブミンという鶏卵の成分でワクチン1回分に1ng~10ngが入っています。1ngは0.000000001gとごくわずかな量です。そのため鶏卵アレルギーがあっても問題なくインフルエンザワクチンを接種できることが多いと考えられますが、もちろん初回接種の場合は十分な体制のとれる環境のもとでの接種となります。鶏卵アレルギーの程度にもよると考えますので主治医とよくご相談をお願いいたします。
インフルエンザワクチンの助成はありますか?
一定の基準を満たすかたは助成対象です。 満65歳以上のかた、または満60歳~65歳未満のかたで心臓・腎臓・呼吸器の機能障害(障害1級程度)のあるかた、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害(障害1級程度)のかた。これらのかたは自己負担金が2300円でインフルエンザワクチンを接種できます。
妊婦ですが接種を行うべきですか?
厚生労働省や日本産婦人科学会では万一妊婦がインフルエンザにかかってしまった場合に重症化してしまうリスクを考慮し、流行前の予防接種をおすすめしています。 妊娠中はインフルエンザをはじめとした感染症にかかりやすくなっています。お母さんが赤ちゃんを異物として攻撃しないよう免疫を落とすことと、加えてつわりで食事がとれないためさらに体力が低下していること、またお腹が大きくなるため心肺機能が普段より低下しているなどの条件も加わり普段より抵抗力がなくなってしまうからです。 そのため妊婦がインフルエンザにかかると重症化するリスクが高まり、また早産のリスクも高めると言われております。そのため妊娠中にインフルエンザの予防接種は重要なものになります。 日本で使用されているインフルエンザワクチンはウィルスの感染力を失わせたものを使用した不活化ワクチンです。そのためインフルエンザワクチンの母体および胎児への危険性は妊娠全期間を通じて極めて低いため接種を希望される妊婦さんは受けることができます。
当院でのインフルエンザワクチンについて
近年のコロナウィルス蔓延により、インフルエンザワクチンを希望されるかたの数も増えております。当院では患者様が密にならないよう予約制での対応を行わせていただきます。
Web予約(デジスマ診療アプリ)もしくは電話での予約をお願いいたします。